一時停止違反の腹いせに働き方改革に物申す

先日、友人の結婚式に出席するために家族を乗せて車で東京に向かった。

六本木ヒルズの横を抜けて、大通りとの合流を超えた瞬間に3人の警察官が現れ車を止めた。合流地点での一時停止違反とのことだった。

 

正直なところ一時停止の標識が目に入っていなかった。慣れない道を走っていて少し緊張していたのかもしれない。罰則をくらうのはやむなし。警察官に言われるまま免許証を渡し、しばらく待つ。

その間バックミラーで一時停止の場所を確認する。たしかに標識らしきものはあるし、他の車は止まっている。それを道路を挟んで少し離れた位置から一台一台警察官が監視している。

それを見ているとだんだん怒りがこみあげてきた。

ここで監視しているのはここで一時停止違反が多いからだろう。そもそも違反をすると何が問題なのか?事故が起きることである。警察が国民の平和と安全を守ることを第一とするならば、一時停止の場所でそもそも停止を促すべきだし、人がいなくても安全確認を促す措置はできるはずだ。

そんなことを考えていたら違反金の振込用紙を渡され、サインと指紋の押印を求められた。違反金は7千円だった。おまけに金融機関の窓口で支払わなければならないときた。

悔しいので最後に質問した。

私「こちら一時停止違反が多いんですか?」

警察「そうですね」

私「おそらく一時停止に気づきづらいのだと思うので、そこを改善する努力を要望します。遠くから見張るのではなくて」

と言ったところで他の警察官が近寄ってきた。この人達も休日に好きでやっている訳ではないだろうし、ここで言い争いしても分が悪いだけだ。窓を閉めて走り出した。

働き方改革について思うこと

話しはとんで、この件で働き方改革について思うことがあったので、半分八つ当たりで物申したい。

働き方改革、生産性の向上の必要性が昨今さけばれている。私もこれまで様々な研修を受けたり、生産性向上の取り組みをしてきた。よくある無駄を見つけて減らしていきましょう、集中して早く業務を終わらせましょう、といった効率化の取り組みは、それ自体はとても有益であるものの、ここから得られる効果はせいぜい10%〜20%程度の効率化である。

本当に生産性を向上するためには何が必要か?

それは本質的に必要のない仕事をなくすことである。例えば今まさに始めようとしている1ヶ月の機能開発が、そもそもの方向性が間違っていてユーザーに価値を提供できないものであったら?これをとめれば1ヶ月×人数の工数削減である。このプロジェクトの効率を10%上げてもはっきりいって意味はない。

会議の資料作成一つとっても、効率よくつくるための努力も大事だが、それ以上にその資料をそもそもつくる必要があるか、何を目的としてどこまでつくりこむ必要があるのかの判断が重要である。

私の仕事柄取り組んでいる経理などのバックオフィスの効率化も、現状の非効率的な業務フローをベースに少しでも早く終るようにするのではなく、プロセスやシステム全体を見直すことで大きな生産性向上が期待できる。

つまり、そもそもの仕事のベクトルが正しい方向に向かっていなければ効率化に何の意味もないのだ。例えば生産性が最も高い国の一つと言われているスウェーデンの企業では、毎日フィーカというみんなでお菓子とコーヒーを楽しむ時間を設けるなど、決してせかせか働いているわけではない。徹底的にやるべき仕事をしぼっている、それだけなのだ。

先ほどの警察の例でいえば、今のベクトルのままで効率化を追い求めればより効率よく違反を取り締まるようになるだろう。世の中の安全を守るために本質的に必要な仕事は何かという視点で考えれば、決して違反の多い箇所から一步離れて見張るということにはならないはずだ。

 

加えて、働き方改革には従業員エンゲージメントの向上が必須である。従業員が意義を感じない仕事をしていてはモチベーションは下がり、生産性は自ずと低下する。やる気のある従業員から組織を離れていく。

この仕事を任された警察官も可愛そうだ。おそらく本人もやりがいを感じてはいないだろうし、文句を言われブログにも書かれるw それで休日出勤していては、家族がいれば後ろめたい気持ちにもなるだろうし、子供に自身の仕事を誇らしく話すこともできないだろう。

 

みなが本質的に意義のある仕事にフォーカスでき、生産性高く、そして誇りを持って働くことができる、そんな世の中をつくることが私の仕事人生の大きなミッションであると、この事件を通して確信した。

 

蛇足:

ホテルに着くと、朝食付きプランで予約したつもりが宿泊のみになっていた。朝食付けるといくらになるか尋ねると、大人2人と子供1人で7千円ですとのこと。見事に違反金と同額、、余計に悔しいじゃないか

 

ちゃんちゃん